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ネット印刷(印刷通販)を初めて使ったとき、データ入稿で失敗した。納品された印刷物を見て「あ、やってしまった」という経験を2回してから、ようやく入稿に慣れた。
今では名刺・チラシ・パンフレットと年間数十回入稿するようになったが、最初の頃に知っておきたかったことをまとめる。これから初めてネット印刷を使う人が同じ失敗をしないために書く。
失敗ポイント1:トンボと塗り足しを無視した
最初の入稿で一番やらかしたのがこれだ。デザインをPhotoshopで作って、そのままJPEGで書き出して入稿した。届いた印刷物を見ると、端のデザインが白くカットされてしまっていた。
原因は「塗り足し(ブリード)」の概念を知らなかったこと。
印刷物は断裁機でカットするとき、微妙にずれが生じる。そのずれを吸収するために、デザインの端から3mm(多くのサービスが3mm)を「塗り足し」として、背景やデザインを余分に伸ばしておく必要がある。
例えばA4サイズ(210×297mm)のチラシを作るなら、データサイズは216×303mm(上下左右に3mmずつ加えたサイズ)で作る必要がある。塗り足しなしのデータを入稿すると、カットの際に端が白く抜けることがある。
「トンボ(トリムマーク)」は断裁位置を示すマークのことで、Illustratorなら「効果→トリムマーク」で自動的に付けられる。ネット印刷の入稿規定の多くで「トンボ付きデータ」が必要とされる。テンプレートを使えばこの処理が自動的に行われるため、初心者はまずテンプレートを使う方がトラブルが少ない。
失敗ポイント2:カラーモードがRGBのまま
デザインツールで使うカラーモードには「RGB」と「CMYK」がある。
RGBはモニターで表示するための色設定で、3色の光の組み合わせで色を表現する。CMYKは印刷のための色設定で、4色のインクの組み合わせで色を表現する。
問題は、RGBで作ったデザインをそのまま印刷すると、モニター上では鮮やかだった色が印刷で暗くくすんだり、色が変わったりすることだ。特に蛍光色に近いビビッドな色はRGBでは表現できても、CMYKに変換すると大幅に色が変わる。
僕が失敗したのは、デザインで使っていたロゴの青色がCMYKに変換された際に全然違う青に変わってしまったことだ。モニターで確認した鮮やかな青が、印刷では暗いくすんだ青になって届いた。
対策はデザイン作成時からCMYKモードで作ることだ。IllustratorはドキュメントカラーモードをCMYKに設定する。Photoshopも同様。Canvaはウェブ向けツールなのでRGB前提だが、プレミアムプランでCMYK出力できる機能が追加されている。ただし完全にはコントロールできないため、色精度が重要な場合はIllustratorを使う方が確実だ。
失敗ポイント3:解像度が不足していた
印刷データに必要な解像度は350dpi(または300dpi)が一般的な基準だ。
ウェブ用のデザインは72dpiで作ることが多い。ウェブでは画面解像度で表示されるため低い数値でも問題ないが、印刷物では72dpiのデータを使うと印刷が荒くなる(いわゆるジャギー・ぼやけた印刷になる)。
ウェブ用に作ったバナー画像を名刺のデザインに転用しようとして、印刷物で粗くなってしまったことがある。ウェブと印刷は解像度の前提が全く違う。印刷用のデータは最初から印刷用の解像度で作る必要がある。
後から解像度を上げることはできない。低い解像度の画像を拡大しても、粗さが拡大されるだけで画質は改善しない。印刷用の素材は最初から解像度が高いものを用意するか、ベクターデータ(Illustratorのai/epsなど)を使う。
失敗ポイント4:用紙の厚みを軽く考えた
「紙の厚みなんてどれでも同じだろう」と思っていた。実際に使ってみると全然違った。
印刷用紙の厚みは「kg」で表される(90kg・110kg・135kg・180kgなど)。数字が大きいほど厚い紙だ。
チラシの配布物として90kgを選んだら、ペラペラで受け取った人の手の中でクシャッとなりやすかった。名刺に90kgを選んだら「薄い名刺だな」という感じになった。
用途別の目安として、チラシは90〜110kg、名刺は180〜260kg(名刺専用の厚みがある)、ポストカードは220〜260kgが一般的だ。最初は「標準」を選んでサンプルを確認し、次回注文から自分の用途に合わせて変更するのがいい。
多くのネット印刷サービスでは、無料サンプルを取り寄せることができる。注文前に紙質を手で確認できるので、大量注文の前には活用をすすめる。
失敗ポイント5:納期を甘く見た
「3営業日以内に届く」という表記を見て「水曜に注文すれば金曜に届く」と思っていた。実際は違った。
多くのネット印刷サービスでは「入稿確定後X営業日で出荷」という計算になる。土日祝日は営業日にカウントされない。また、入稿後にデータチェックがあり、不備があれば修正が必要になって日程が伸びる。
イベントの前日に使いたい印刷物を注文して、当日に届かなかった経験がある。イベント用の印刷物は最低でも1〜2週間前には発注するのが鉄則だと学んだ。
急ぎ対応(翌日出荷・当日出荷)のオプションがあるサービスも多いが、通常価格の2〜3倍になることがある。急ぎでなければ通常の納期で余裕を持って注文する方が費用対効果が良い。
初めての入稿を成功させるために
上記5つの失敗を踏まえて、初めてネット印刷を使う人へのアドバイスをまとめる。
まずはテンプレートを使う。各サービスが用意しているウェブ上のデザインツール(またはテンプレートPDF)を使えば、トンボ・塗り足し・CMYK・解像度の問題を自分で考えなくていい。
紙質はサンプルを先に取り寄せる。大量注文の前に無料サンプルで手触りを確認する。
納期は2週間前を目処に発注する。余裕を持っておけばデータ不備があっても対応できる。
最初の注文は少ない枚数にする。50〜100枚程度で一度試して品質を確認してから、大量注文に移行する。ネット印刷は少ない枚数でも単価の差が大きくないサービスが多い。
これだけ意識するだけで、初めてのネット印刷でも大きな失敗は避けられると思う。
